床屋のにーちゃんの話。

頭だけのマネキンは人毛だと相場二、三万。人工だとその半分程度。二千程度のもあるが質が悪い。中国のある州にはそのマネキン用の毛をナリワイにしている村落があるらしい。そこの女性はひたすら髪を伸ばしちゃ切ってうる。しかも艶があるいい髪らしい。
美容師になるための試験があるのだが、試験中の試験監督員はそのへんのおっさんを拾ってくるらしい。審査員のなかにはホンモノもいるらしいが、大半はただ試験らしい雰囲気を醸し出すためのフェイクおやじとのこと。

そこの床屋、というか美容室というか、いつも髪切る店にはかれこれ八年いっている。
大学入ってはじめの数か月は別のとこだったが、今のとこは大学から近かったし、男っぽいみせで居心地が悪くない。一度、こじゃれた店にいったが、店員のほとんどがムスメで、ムスメに髪切ってもらってる間、しゃべることないし、なんか恥ずかしいしで逃げたかったという脂汗とともに思い出す過去がある。
俺のエロ話など、エロ界からいえばボトムレヴェルだが、やはりそういう話も気がねなくできないとよろしくない。またハゲ相談もしやすい。ハゲの話になると執拗にあるシャンプーをすすめてくるが、昨日はナバホ族にはハゲがいなく、ナバホ族のシャンプーが近年話題であると入れ知恵しておいた。
昨日、髪を切って帰り際、千円割引チケットをくれたので、浮いた金で覗き部屋いってきます、ダハ、とクズな捨て台詞を吐いて退店。
昔からの疑問で、なぜ俺は自分で自分を落としめるのか、自分でもわからないが、ようは気楽なんだろう、きっとそうなんだろうと、思いまーした。