イエローキャブ

あれはちょうど2年前。
わたしは、NYにいた。


いきなりセレブな感じで恐縮です。


5泊3日(時差で)という小旅行で。


大都市へいってみたい、と思い、
すでにBerlin、Londonにはいったことがあるグローバルな私は、もうNYしかないのではないか、
という結論に至ったのです。


13時間近く、飛行機に乗り、地上へ開放されたときにはもうげんなりだった。


空港ロビーのなかは既にアメリカンな様相を呈しており、
みな大声で話している。
バスも地下鉄でもそう。


常に喪に服しているような日本の公共の場とは、
ノリが違った。


お店の店員さんもレジで、
「How are you?」
と聞いてくるノリ。


あぁ、異文化、
と感慨にふけった記憶がある。


エンパイヤステートビル、ブルックリン橋、セントラルパーク、
メトロポリタンミュージアムコロンビア大学etc..
いろいろ行った。



そんなプチ滞在中、もっとも心動かされ、感動したのは、
ブロードウェイのミュージカルだった。
「RENT」
というミュージカルがやっていて観たのですが、
これに非常に感動いたしました。


なぜミュージカルを見たかと申しますと、
エンパイヤステートビルに登ったのと同じ動機で、
「とりあえずいっとこう」
という観光気分であり、
ミュージカル自体初めてでした。
チケットが7000円くらいで、
高いのでいったん観るのをやめかけたほどの、
熱意。


なぜ「RENT」かというと、
適当あるいは直感で選んだわけです。


正直、見始めは、
「ブロードウェイがなんぼのもんじゃい」
的なノリだったのですが、
いざ始まると、
なんだか熱い。


英語だから半分も何言ってるかわからないけど、
胸に響くものがあったわけです・・・。



で、強引に今現在に話を戻しますと、
今、JAPANにBLUEMANなるグループがきており、
それは私がNYに行っていたときにもブロードウェイで上演していた記憶があります。


感動をいまいちど。
てなわけで、チケット獲得をまずせねばなりません。


公演日程のなかから観にいきたい希望順位を1〜6まで
あらかじめつけ、
マイノートにチケット販売先の電話番号と、
その公演のコードを書きつけ、
チケット販売の開始日を、
静かにまっておりました…。


いよいよ発売日、それは本日。
家にはネットがないので、
馬場のネットカフェで、
マイノートを開き、「ぴあ」の会員登録を済ませ、
携帯を手元におき、
磐石の体制で時が満ちるのを、
静かにまっておりました…。


いよいよ10:00より発売になり、
必死でネットと電話でチケットの確保に挑みました。


しかし!
ネットも電話も
「ただいま混雑しております」
といって一向に受け付けられず!
ディスコミュニケーション


クリックとリダイアルを繰り返しながら、
「この努力は報われるのか」
と自分の弱い心との戦いにも巻き込まれていった!



結末はいつでも、悲しいくらい、あっけなくやってくる。


当たり前といえば当たり前なんだけど、
あるひとつのクリックから、
あれ?と拍子抜けするくらいに、
申し込みのページにたどり着き、
無事ゲットいたしました。


この間30分。
その間の無数のクリックのうちのひとつが成功。
これは数多くの拒絶されたクリックの存在を前提としたものではなく、
無関係に独立したものでしょう…。



この成功のワンクリックは、
今回の私の一連のチケット獲得ドラマとは無関係で、
単に確率の問題だった。


それが真実だろうと思います。


しかし、その無機質な真実を、むりやり私のドラマ、因果関係にとりこむことで、真実に別の意味が加わり、ストーリーが生まれ、チケットのありがたみが増す。


たかがワンクリック。
されどそこに私のNYでの経験、チケットへの意気込み、といった人間の情念を加えることで、ドラマが生まれるわけです。
そして、このワンクリックがなければ、このドラマは成立しなかった。


世の中におきる偶発的なできごとの点と点を結ぶと、
劇的なストーリーが生まれる。


そのストーリーとストーリーを支える構成要素に与えられた「意味」は、真実ではないけど、事実ではある。


悲しい出来事も、楽しい出来事も、大きく自分の人生も、
どのようにみるかでがらりと変わりうる可能性を秘めている。


おそらくはこの世は、自分の存在とは無関係の無数の点で構成されていて、
その点をどのようにつないでいくか、
どのような意味を与えていくか、
それが各人の自由の領域なのでしょう。


「どう考えても自分の人生はぜったい悲劇だ!」
という前に、今一度、前向きな解釈の可能性がないか、
探っていただきたい。
安部よ。


希望とは、このように意思から始まるものなのだから。



さて、屁理屈はさておき、
生涯初のチケット購入となりました。


しかしいい席をとるにはなにかコツがあるのでしょうか。
素人なのでまったくわかりません。



とにかく、むりやりまとめさせていただくと、


「人間、枯れないためには日々、
 新しいことをしてくことが重要だ。
 美しい国ニッポソ
 フォーエバー。」


ということになると思います。
たぶん。


がんばれ。