私は主夫になりたい。

元彼女からまだ連絡が来る。


「早くいい男を捕まえて、
 結婚しなよ。」

そういってしまいたいけど、
いえない。


俺はまったくもって結婚というものが、
自分という人間と関係のあることとは思えない心境さ。

そして君は結婚願望が強いのさ。

君は俺という人間の駄目さを受け入れて、
なおかついつまでもどこまでも、
一緒にいてくれるのかい?

もしそうなら俺は明日にでも結婚するよ。


でも違うだろう?

やっぱ結婚したら君は仕事をやめて、
かわいいベイビーがほしいのさ。

そして俺はベイビーと、
おっぱい争奪戦を繰り広げて、
君の胸にベルリンの壁を気づくのさ。
そして、君にしかられるのさ。

幸せな光景だね。


今の俺は、君とベイビーを支える力がない。
主夫になってもいいなら別だけど。
そうは問屋がおろさない。

正直俺は、今後の人生がどうなることやら、
まったく持って、わからない。
成功に向けて、あがいてはいるけど、
まだとっかかりすら、つかめていない。

そして今夜は珍しく、不安なのさ。


ルンペンになるとまでは思わない。
それよりも怖いことさ。
ものすごく退屈な人生が待ち受けている気がして。
その恐怖から逃れ続けてきたつもりが、
まだ逃げ切れていなかったんだ。


所詮、牧場の牛なのか。
お釈迦様の手のひらの孫悟空なのか。


羊飼いになって旅をしたい。


こういう気分のときは、
君に会いたくなる卑怯な俺さ。


そうそうに縁を切ることをおすすめするよ。