怒ってる。

昨日、ドトールで青年が泣いていた。青年は真っ赤に目を腫らしながら、向かいにいる仕事の上司らしい男の説教を聞いている。
俺はさり気なくイヤホンを外し盗聴を試みた。青年はいいたい放題いわれ、時折それにたいして色よい反省の言葉を言わされている。嫌になってまたイヤホンをはめた。
あわれ。男よ、泣くなよ。
怒ってる男は、怒れる自分と泣いてる君の醸し出す雰囲気に酔っているだけだぜぇ。俺はその怒っている男を嫌いになり、軽蔑した。てめぇは、神かなにかのつもりか?お前だってコウンばっかしてるくせに。
でも俺を含め、自分に甘い人間は怒られないとわからない場合もある。怒るならうまいこと怒れ、と都合よく考えながら、元彼女と会い、切なくなった。